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中将姫と流灌頂
中将姫は、藤原鎌足の子、不比等から分かれた藤原四家の筆頭である南家の出身で、大納言(中将)豊成を父とし、母は品沢親王の息女、紫の前。
二人は子宝に恵まれず、初瀬の観音さまに祈願された。観音さまは、天眼を以って三千大世界を見渡して、夫婦いずれかの命と引き換えに一姫を授けられた。
姫は五才にして母を失い、その後、継母に育てられる。継母より度々のいじめに遇い、遂には継母の策略で雲雀山に捨てられる。後に、狩に来た父と再開し都へ帰る事となった。姫は、成長過程において、何人もの人が自身のために命を落としたことが深く心に辛く残り、一心に争い事の無い本当に平和な安楽浄土を願うようになる。
十六才で大和當麻寺に入り、称讃浄土経一千巻の写経を達成。十七才で出家し仏門に入り、百駄の蓮茎を集め、蓮糸を繰り、井戸へ浸すと五色に染まった。それを一夜にして一丈五尺(約四メートル四方)の大曼荼羅(国宝)に織り上げた。
ニ十九才の三月十四日の夕刻、阿弥陀さまと観音・勢至をはじめとするニ十五菩薩の来迎を受けられ、極楽浄土へと旅立たれた。中将姫が織られた大曼荼羅には、極楽には九つの蓮台が有り、生前の行いによって往きつく処(蓮台)が異なると説かれている。
今は亡き、み佛さま・ご先祖さま方がどの蓮台に往生されているか、残された者にはわかりませんが、阿弥陀さまに最も近い処へと往生してもらいたいと思うのが、残された者の願いではないでしょうか。
流灌頂は、今は亡き、みほとけさま・ご先祖さま方の【戒名を記した塔婆】・【白木のお位牌】を清らかな川へ流し、生前に犯した罪・咎・穢れ・諸悪業等を少しずつ取り除いてさしあげる法要です。一度だけではなく、重ねてお参りされることによって、極楽浄土の最上蓮台である上品上生へと往生させてあげていただきたいと願っております。
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雲中二十五菩薩 |